白髪染めは根元と毛先に同じ薬を使う必要がある?ブリーチ毛の実例で分かる「塗り分け」の考え方【中津市】

「白髪染めやカラーって、
根元から毛先まで同じ薬を塗るものじゃないの?」

そう思っている方は、
かなり多いと思います。

でも私は、
根元と毛先をいつも同じ髪として考えているわけではありません。

理由はとても簡単です。

根元は、
最近生えてきた髪。

毛先は、
これまで何度もカラーやブリーチなどを経験してきた髪だからです。

今回は、
誰にでも分かる言葉で、

「なぜ根元と毛先でカラーを分けることがあるのか?」

を、
実際のお客様のカラー写真を見ながら説明します。

なお、
今回ご紹介するお客様は白髪染めではなく
おしゃれ染めの実例です。

ただ、
「根元と毛先では髪の履歴も、カラーに求める役割も違う」
という考え方は、
白髪染めを続けている方にも共通する大切な部分です。

先に答え|根元と毛先に同じ薬を使う必要はある?

答えは、

必ずしも同じ薬を使う必要はありません。

ただし、

「根元と毛先は絶対に分けなければいけない」

という意味でもありません。

髪の状態や希望する色によっては、
一つのカラー設計で全体を染めることもあります。

大切なのは、

「今、この部分の髪に何が必要なのか?」

を考えることです。

実際、
カラー剤メーカーが公開しているプロ向けレシピでも、
根元と中間〜毛先で薬剤の強さを変えるケースと、
塗り分けずに染めるケースの両方があります。

つまり、
「いつでも全部同じ」
でも、
「いつでも必ず別」
でもありません。

髪を見て決める。

これが基本だと私は考えています。

根元と毛先ではカラーの役割が違う

今回のようなカラーを、
もっと簡単に考えてみます。

根元は、
新しく伸びてきた髪です。

今回のお客様の場合、
根元には
希望する明るさと色味を作る
という仕事があります。

一方、
毛先はすでにブリーチされていて、
十分に明るくなっています。

つまり毛先には、
さらに明るくすることよりも、

「今ある明るさを利用しながら、
抜けている色味を整える」

という仕事があります。

誰にでも分かるように言うと

根元は、
「明るさと色を作りたい場所」。

毛先は、
「すでにある明るさを使って、色を整えたい場所」。

同じ頭に生えている髪でも、
やってほしい仕事が違うのです。

実例|ブリーチ履歴のある毛先をショコラへ

今回のお客様の希望は、

明るさは10〜11トーン。

色味は「ショコラ」で全体を統一。

というものでした。

施術前を見ると、
根元と毛先ではかなり状態が違います。

特に毛先には
過去のブリーチ履歴があり、
明るく色が抜けています。

ブリーチ履歴で明るく抜けた毛先と根元の状態が分かるカラー施術前の左後ろ
施術前・左後ろ。根元と、ブリーチ履歴で明るくなった毛先では状態が大きく違います。
ブリーチ履歴で明るく抜けた毛先と根元の状態が分かるカラー施術前の右後ろ
施術前・右後ろ。同じ頭でも、根元と毛先では今回のカラーに必要な役割が違います。

この毛先を見て、

「茶色にしたいなら、
茶色のカラー剤を塗ればいいのでは?」

と思うかもしれません。

ところが、
ブリーチ履歴のある髪は
それほど単純ではありません。

なぜブリーチ毛の色合わせは難しいの?

ブリーチは、
髪の中にある色素を減らして
髪を明るくします。

ただし、
変わるのは色だけではありません。

研究では、
ブリーチ処理によって
髪の表面にあるキューティクルや、
内部の構造にも変化が起こることが確認されています。

つまり、
ブリーチした毛先は
単純に

「普通の髪が明るくなっただけ」

ではありません。

髪の中に残っている色。

どこまで明るくなっているのか。

過去に何回ブリーチしたのか。

どの程度ダメージしているのか。

どんな色が残っているのか。

そこへ、
最終的にどんな色を入れたいのか。

いくつもの条件を一緒に考える必要があります。

「ショコラ」という色を作る場合も同じです

例えば、
明るく抜けた髪に
単純にブラウンを乗せれば、
必ず希望通りのショコラになるわけではありません。

髪に残っている黄色やオレンジなどの色と、
これから入れる色が混ざるからです。

絵の具を想像すると、
少し分かりやすいと思います。

真っ白な紙へ茶色を塗る場合と、
黄色やオレンジが残っている紙へ
同じ茶色を塗る場合では、
見える色が変わります。

髪も、
考え方としては似ています。

そのため、
必要に応じて反対側の色、
いわゆる
「補色」
も考えながら色を組み立てます。

ナチュラルハーブカラーの公式カラーチャートにも、
レッド、
イエロー、
ブルー、
パープルなどの色と、
補色関係を利用して色味を抑える考え方が示されています。

ただし、
ラフェ・クレールで使用している
具体的な配合比率やカラー計算は
独自の技術部分になるため公開していません。

なぜ毛先にナチュラルハーブカラーを選んだのか

ここで、
もう一つ大切なことがあります。

なぜ今回、
ブリーチ履歴のある毛先に
普通のアルカリカラーではなく、
ナチュラルハーブカラー
を選んだのか。

理由は、
今回の毛先に
「これ以上明るくする仕事」が
必要なかったからです。

今回のお客様が希望された明るさは、
10〜11トーン

毛先はすでにブリーチによって、
今回希望されている10〜11トーンを作るうえで
十分な明るさがありました。

つまり毛先に必要だったのは、
さらに明るくすることではありません。

今ある明るさを利用しながら、
抜けている色を補い、
ショコラという色味へ整えること。

これが、
今回の毛先に必要な仕事でした。

ナチュラルハーブカラーの特徴

メーカー公式では、
ナチュラルハーブカラーは
アルカリ剤と過酸化水素を使用しないカラーとして紹介されています。

そのため、
髪をさらに明るくする
「トーンアップ」はできません。

でも今回の毛先は、
すでに今回の希望色を作るために十分な明るさがあります。

だから私は、
この特徴が今回の毛先に合っていると考えました。

なお、ナチュラルハーブカラーにはジアミンが含まれています。
「天然成分が多い=アレルギーの心配がない」という意味ではありません。
メーカーも使用前の皮膚パッチテストを案内しています。

誰にでも分かるように言うと、

もう十分に明るい髪を、
もう一度明るくする必要はない。

ということです。

必要なのは、
明るさを作ることではなく、
色を整えることです。

もう一つの理由は「色を組み立てられること」

ナチュラルハーブカラーには、
ブラウンやベージュだけでなく、
レッド、
オレンジ、
イエロー、
グリーン、
ブルー、
パープルなどの
ニュアンスカラーがあります。

メーカー公式でも、
補色関係を利用して
不要な色味を抑える考え方が示されています。

これは、
今回のようなブリーチ履歴のある毛先では
とても重要です。

ブリーチした髪には、
黄色やオレンジなど、
その時の髪によって
さまざまな色が残っています。

そこへ、
ただ「茶色」を塗れば
必ずショコラになるわけではありません。

今残っている色を見て、
必要な色を足し、
いらない色を抑える。

そのため私は、

「完成された色を選ぶ」
というより、
「その毛先に必要な色を組み立てる」

という考え方で施術しています。

ここは大切なので補足します

ナチュラルハーブカラーが
すべての髪に一番良い、
という意味ではありません。

髪を明るくしたい場合には、
アルカリカラーだからできる仕事があります。

今回は、
毛先にすでに十分な明るさがあり、
「明るくすること」より
「色を整えること」が必要だったため、
私はナチュラルハーブカラーが
この毛先には適していると判断しました。

そして、
この考え方こそが
カラサポで大切にしている

「必要なところに、
必要な役割だけを与える」

という考え方につながっています。

ナチュラルハーブカラーの製品特徴や色設計については、
メーカー公式情報も参考にしています。


ナチュラルハーブカラー公式|製品の特徴


ナチュラルハーブカラー公式|カラーチャート・補色について

今回、根元と毛先をどう分けたのか

今回の施術では、

根元

ナシードカラーを使用。

希望する10〜11トーンへ向けて、
根元に必要な明るさと色味を作ります。

根元には
「明るさを作る」という役割があります。

毛先

ナチュラルハーブカラーを使用。

毛先はすでにブリーチによって、
今回希望されている10〜11トーンを作るうえで
十分な明るさがあります。

そのため、
さらに明るくすることを目的にするのではなく、
現在の明るさを利用しながら
ショコラの色味へ整えていきます。

毛先には
「明るさを作る」より、
「色を整える」という役割を持たせています。

ここが、
今回一番伝えたいところです。

根元と毛先までカラーする。

でも、根元と毛先へ同じ仕事をさせるわけではない。

同じ頭だからといって、
同じ薬剤、
同じ強さ、
同じ考え方でなければならない理由はありません。

仕上がり|10〜11トーンのショコラへ

仕上がりがこちらです。

根元と毛先でカラー方法を分けながら、
全体では
10〜11トーンのショコラ
として見えるように整えています。

根元はナシードカラー、毛先はナチュラルハーブカラーで10〜11トーンのショコラに整えた左後ろの仕上がり
施術後・左後ろ。根元はナシードカラー、毛先はナチュラルハーブカラーで色を整えています。
根元とブリーチ履歴のある毛先を別のカラー設計で10〜11トーンのショコラに整えた右後ろの仕上がり
施術後・右後ろ。根元と毛先を別々に考えながら、全体の色味をショコラへ統一しています。

写真を見ると、
明るく抜けていた毛先が
全体の色へなじんでいることが分かると思います。

ただ暗くしたかったわけではありません。

希望は、
10〜11トーンという明るさを残したショコラ
です。

暗くしすぎても違います。

明るすぎても違います。

赤すぎても、
黄色すぎても、
今回の希望とは違います。

だからこそ、
現在の毛先の状態を見て
色を組み立てています。

ブリーチ履歴のある毛先を根元と別のカラー設計で10〜11トーンのショコラに整えたビフォーアフター
今回のビフォーアフターを見やすくまとめた比較用デザインです。施術状態の確認には、上に掲載している元の実写真4枚をご覧ください。

「難しいカラー」とはどういう意味?

今回のような、
ブリーチ履歴のある毛先を
明るさを残しながら自然なブラウン系へ整える施術は、
判断することが多いカラーです。

ただし、

「できる美容師がほとんどいない」

とまで私は言いません。

何%の美容師ができるのかを調べた
信頼できる統計があるわけではないからです。

一方で、
技術的に考えることが多いのは事実です。

例えば、

・現在の明るさ

・ブリーチの回数や履歴

・残っている黄色やオレンジなどの色

・毛先のダメージ状態

・どのくらい色が入りやすい状態なのか

・希望する最終的な明るさ

・希望色を作るために必要な色と補色

などを同時に考えます。

研究でも、
ブリーチによって毛髪の表面や内部構造が変化することが確認されています。

また、
カラーを繰り返すことによって、
キューティクル表面の変化や
髪の物理的な性質に変化が生じることも報告されています。

そのため、
ブリーチ履歴のある毛先を
単純に

「今の色が明るいから、茶色を足せばいい」

とだけ考えるのではなく、
髪の履歴まで見て判断する必要があります。

カラサポで大切にしている考え方

今回の実例は、
ラフェ・クレールで行っている
カラサポの考え方が分かりやすく出ています。

カラサポでは、

必要なところに、
必要な役割だけを与える。

ということを大切にしています。

毛先までカラーはします。

でも、

「毛先までカラーする」

ことと、

「根元と同じアルカリカラーを
毎回毛先まで重ねる」

ことは、
私の中では同じではありません。

根元には根元の役割。

毛先には毛先の役割。

そして今回のように、
過去のブリーチ履歴があるなら
その履歴も含めて考える。

一回のカラー直後だけではなく、
次回、
半年後、
数年後の毛先まで考える。

それが、
カラサポの中心にある考え方です。

白髪染めでも考え方は同じ?

今回のお客様は
おしゃれ染めでした。

では、
白髪染めには関係がないのでしょうか。

私はそうは考えていません。

白髪染めでも、
根元と毛先では状態が違います。

例えば、
根元には新しく伸びてきた白髪があります。

そこには、
白髪を染めるという仕事があります。

一方、
すでに何度も染められている毛先は、
白髪をもう一度ゼロから染める場所ではありません。

色が抜けているのか。

明るさは足りているのか。

今回、本当にアルカリによる明るさが必要なのか。

そこを考えることが大切です。

つまり、

白髪染めだから毎回、
根元から毛先まで同じ薬剤でなければならない、
というわけではありません。

ただし、
毛先の状態や希望色によっては
同じ薬剤設計が適している場合もあります。

だからこそ、
決めつけずに髪を見ます。

以前の記事でも「根元と毛先の履歴」について解説しています

白髪染めを繰り返した時に、
なぜ毛先ほどダメージが重なりやすいのかについては、
こちらの記事で詳しく説明しています。


白髪染めを繰り返すと毛先がパサパサ・チリチリするのはなぜ?

「できるだけ髪を傷ませずカラーを続ける」
というカラサポ全体の考え方については、
こちらの長期症例もご覧ください。


髪をできるだけ傷ませずカラーを続けるには?50代女性を3年間追った実例

まとめ|今の髪に必要なことを考える

根元と毛先。

同じ人の髪ですが、
これまで経験してきたことは違います。

今回のお客様も、
根元とブリーチ履歴のある毛先では
状態が大きく違いました。

そこで、

根元はナシードカラー。

毛先はナチュラルハーブカラー。

それぞれに役割を分け、
希望する
10〜11トーンのショコラ
へ整えました。

大切なのは、

「何を塗るか」だけではなく、
「なぜ、その部分にそれを使うのか」

だと思っています。

今日だけきれいに染まればいいのではなく、
これから先もカラーを続ける髪だからこそ、
毛先の未来まで考える。

ラフェ・クレールでは、
その考え方を大切にしています。

ご予約について

ラフェ・クレールのご予約は、
お電話のみ
で承っています。


0979-53-9922

LINE・SNSからのご予約やお問い合わせは
受け付けておりません。

ブリーチ、
白髪染め、
縮毛矯正など、
これまでの髪の履歴が複雑な方も、
まず現在の髪を確認します。

できること、
難しいことを分けたうえで
施術方法をご提案します。


美容師の方へ|カラサポについて

今回のようなカラーでは、
単純に色番号を一つ選ぶだけではなく、
髪の明るさ、
残っている色、
履歴、
希望色を見ながら
判断する必要があります。

カラサポでは、
こうした複雑なカラー計算や判断の一部を
仕組みにしていく開発も続けています。

美容師の感性や最終判断をなくすのではなく、
複雑な計算部分を支え、
スタッフでも判断しやすくしていく。

それが、
カラサポ事業の目的の一つです。


美容師向け「カラサポ」について詳しく見る


この記事を書いた美容師

La Fee Claire(ラフェ・クレール)代表。

20歳から美容師として、
カラー、
くせ毛、
縮毛矯正、
年齢による髪質変化と向き合ってきました。

カラーでは、
一回の仕上がりだけを見るのではなく、
次回来店時、
半年後、
数年後の毛先まで確認しながら
施術方法を検証しています。

今回掲載した写真も、
実際にラフェ・クレールで施術した
お客様の記録です。

参考にした一次情報・毛髪研究

今回の記事では、
実際のお客様の施術記録と、
メーカーが公開しているプロ向け情報、
毛髪研究を分けて確認しています。

・ナプラ公式「NASEED COLOR」製品情報・プロ向けカラーレシピ

・ナチュラルハーブカラー公式「PRODUCTS」「お客様ご提案フロー」

・The physical and chemical disruption of human hair after bleaching – studies by transmission electron microscopy and redox proteomics

・Quantifying the effects of repeated dyeing: Morphological, mechanical, and chemical changes in human hair fibers

なお、
研究で分かっている一般的な毛髪の性質と、
ラフェ・クレールで実際のお客様を見ながら行っているカラー判断は、
同じものとして扱わないよう区別して記載しています。